生成AIの活用が当たり前になりつつある今、業務効率化が進む一方で、若手社員が実務を通じて経験を積み、
判断力や専門性を身につける機会が失われつつあるという指摘が広がっています。
「仕事がなくなる」ことと「仕事があっても育たない」ことが同時に進む、いわば二重構造が生じているのです。
英国では育成コストの上昇を背景に、人を雇って育てるよりAI活用のほうが合理的だと判断する企業も出てきて
います。またOECDの調査では、AIを使って好成績を出した学生が、AIなしの試験では自力で学んだ学生よりも
成績が下がるという結果も出ており、「成果が出ていること」と「実力が育っていること」は必ずしも一致しない
ことが分かります。
かつての就職氷河期の世代がそうであったように、実務機会の減少は数年〜十数年後に、人材構造の歪みとして
表面化する可能性があります。
こうした「育ちにくさ」を裏付けるように、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した
「新入社員意識調査2026」(公開型研修受講者683名、インハウス型研修・WEB学習受講者3,041名対象)でも、
新入社員自身が仕事や成長そのものに強い不安を抱えている実態が浮かび上がっています。
■大切にしたいこと(3つまで複数選択)
・社会人としてのルール・マナーを身につけること 53.6%
・仕事に必要なスキルや知識を身につけること 42.2%
・失敗を恐れずにどんどん挑戦すること 34.3%
■仕事・職場生活での不安(3つまで複数選択)
・仕事についていけるか 64.6%
・上司とうまくやっていけるか 42.9%
・先輩・同僚とうまくやっていけるか 36.8%
・自分が成長できるか 28.8%
■働きたい職場の特徴
・お互いに助けあう 66.8%
・お互いに個性を尊重する 46.3%
・遠慮をせずに意見を言いあえる 39.4%
■上司に期待すること
・一人ひとりに対して丁寧に指導すること 50.1%
・相手の意見や考え方に耳を傾けること 46.4%
・好き嫌いで判断をしないこと 32.5%
(出典:「新入社員意識調査2026」株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)
新入社員自身が「成長できるか」に不安を抱いている一方で、AIの普及によって実務経験そのものが減少していくとすれば、
その不安はさらに大きくなりかねません。
だからこそ企業には、単なるマナー研修にとどまらず、上司・先輩側の育成力を高め、失敗を許容しながら
試行錯誤を積める環境や、相談しやすい職場づくりを、あわせて設計していくことが求められていると言えそうです。