トップ
わたしたちSerenoM(セレーノ)について
研修とコンサル
お知らせ
最新情報 & コラム
サービス
労務お役立ち情報
お問合せ
個人情報に関する方針
最新情報 & コラム
作成日:2026/07/31
【企業労務(医療・調剤)】カスハラで調剤拒否が可能に 厚労省が新通知(薬剤師法21条)


カスハラで調剤拒否が可能に 厚労省が新通知(薬剤師法21条)

厚生労働省は令和8年7月8日、「薬剤師の調剤応需義務等について」(医薬発0708第1号)を発出し、
薬剤師法21条が定める調剤応需義務について、カスタマーハラスメント(カスハラ)を理由とする調剤
拒否の可否に関する判断枠組みを示しました。

調剤応需義務は「公法上の義務」

薬剤師法21条は、薬剤師が患者からの調剤の求めに対して「正当な理由がなければ拒んではならない」
と定めています。今回の通知では、この調剤応需義務について、患者に対して負う私法上の義務ではなく、
国に対して負う公法上の義務
であることが明確化されました。
この整理を前提に、どのような場合に「正当な理由」があるとして調剤を拒否できるかが示されています。

これまでの行政解釈では、処方箋内容に疑義があるが処方医に照会できない、災害等で物理的に調剤が
不可能といった、拒否が不当でないことが明らかな場面に限定されてきました。今回の通知は、近年の
社会情勢の変化や深刻化するカスハラ問題を踏まえ、この解釈を改めて整理したものです。

調剤拒否の判断は「二段階」

カスハラを理由とする調剤拒否が認められるかどうかは、次の2段階で判断される枠組みが示されました。

@カスハラに該当するか
本年10月施行の改正労働施策総合推進法と同様の要件で判断されます。業務の性質その他の事情に
照らして社会通念上許容される範囲を超え、薬剤師の就業環境が害されているといえるかがポイントです。

A信頼関係が失われているか
カスハラに該当しても、直ちに調剤拒否が正当化されるわけではありません。迷惑行為の態様に照らし、
調剤の基礎となる患者との信頼関係が、すでに失われているといえるかが問われます。

拒否が正当化されうる行為の類型

通知では、信頼関係の破壊を基礎づける具体的な行為類型として、以下が挙げられています。

  • 暴力・威嚇行為
  • 暴言・人格否定
  • 執拗な謝罪要求・拘束
  • 揚げ足取り・不当な追求
  • 刑法上の犯罪に該当する行為

これらの行為によって調剤ミスが誘発されるおそれや、他の患者の安全確保への支障も、あわせて
考慮すべき事情とされています。

未払いへの対応も明確化

カスハラ以外にも、悪意ある未払いが調剤拒否の正当な理由となることが示されました。過去の未払いが
継続し、再度未払いが生じる可能性が極めて高い場合や、支払い能力確認のための情報提供を拒否するなど
支払い意思が明らかに認められない場合が該当するとされています。

まとめ

日本薬剤師会が実施したアンケートでは、カスハラ対応に30分以上を要したケースが約半数にのぼるなど、
現場の負担は深刻な状況です。今回の通知により、薬局におけるカスハラ対応・調剤拒否の判断基準が整理
されました。薬局としては、この通知の内容を踏まえたカスハラ対策の整備を進めていくことが望まれます。


※本記事は、労働新聞(2026年7月30日付)および厚生労働省通知「薬剤師の調剤応需義務等について」
(医薬発0708第1号、令和8年7月8日)をもとに作成しました。
あわせて専門家の解説記事等も参考にしています。
・通知原文:https://www.mhlw.go.jp/content/001720004.pdf

・日本薬剤師会 定例記者会見 2025年6月19日

 薬局業務におけるカスタマーハラスメント発生時の対応事例に係るアンケート調査について(ご報告と御礼)
(令和7年6月18日 日薬総発第4号)20250619_01.pdf


 

#企業労務 #医療 #調剤