労働災害が増加中!!
〜統計から見る鹿児島県の現状と、今おさえておきたいポイント〜
鹿児島県内の労働災害発生状況(令和8年6月末現在)は、以下のとおり、前年を上回るペースで推移
しています。
とりわけ建設業・林業・運送業・自動車整備業等で死亡災害が発生しているほか、転倒災害が最も多く
発生しており、墜落・転落災害や、動作の反動・無理な動作による災害も多発しています。また、
60歳以上の高年齢労働者の被災者数は302人と、全体の約3分の1を占めています。
全国安全週間で各事業場において安全衛生活動が展開されたところですが、本年上半期の発生状況は
依然として深刻であり、事業場における取組の一層の強化が求められています。
労災の発生防止とあわせて重要なのが、労災が発生した場合の報告義務を適正に果たすことです。
令和8年7月、鹿児島・加治木労働基準監督署は、大規模建設工事の元請業者に義務付けられている
統括管理状況の報告において、二次下請業者の労働者が被災した労働災害の発生状況を記載しなかったとして、
共同企業体(JV)のうち1社と同社社員を、労働安全衛生法違反(報告等義務違反)の疑いで書類送検しました。
この災害は、移動式クレーンで吊っていた型枠材の落下により、労働者が肩や腰を負傷し、
圧迫骨折等で44日間の休業に至ったものです。あわせて、二次下請業者と一次下請業者が共謀して
労働者死傷病報告を行わなかったとして、別途2社も送検されています。
さらに同JVの1社は、定期監督の際、実際の労災件数を過少に申告した疑いでも立件されました。
労災の発生そのものだけでなく、労働者死傷病報告や統括管理報告を怠る・偽ることも、刑事罰の対象となる
重大な法令違反です。「報告すると評価が下がるのでは」といった懸念から報告を控えることは、かえって
大きなリスクにつながります。労災が発生した場合は、速やかに、正確に報告することを徹底しましょう。
労災の発生を防ぐために、特に次の3点を意識した取組みが求められています。
@労働安全衛生の基本の徹底
リスクアセスメント(危険性・有害性の調査等)を確実に実施し、転倒・墜落・転落・崩壊・はさまれ巻き込まれ
など、職場に潜む危険要因を今一度総点検することが重要です。特に転倒災害は発生件数が最も多く、通路や床面
といった基本的な作業環境の見直しが効果的です。
A熱中症予防対策
本格的な暑熱期を迎えるにあたり、WBGT値(暑さ指数)の把握、水分・塩分の補給、暑熱順化への配慮、作業者
の健康状態の確認を徹底することが必要です。あわせて、熱中症のおそれがある方を早期に発見し、適切な対応に
つなげるための報告体制・緊急時対応体制の整備も欠かせません。
B高年齢労働者への配慮
高年齢労働者の被災者数が全体の約3分の1を占めている現状を踏まえ、「エイジフレンドリー指針」に基づいた、
高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理が求められています。特に、転倒災害・墜落転落災害
の防止は重点課題です。
労働災害は、発生件数の増加という「数字」だけでなく、報告義務違反による送検という形でも、
今、現場に重い課題を突きつけています。事業場におかれましては、経営トップ主導での安全衛生活動の見直しと
あわせて、労災が発生した際の適正な報告体制についても、今一度ご確認いただくことをおすすめします。
※本記事は、労働新聞(2026年7月27日付)をもとに作成しました。
※エイジフレンドリー指針
高年齢者の労働災害防止のための指針 高年齢者の労働災害防止 指針 エイジフレンドリー 労働災害防止対策 高年齢労働者|厚生労働省 001702280.pdf
※エイジフレンドリー補助金
エイジフレンドリー補助金|厚生労働省
#企業労務 #労働災害 #安全衛生