全国健康保険協会(協会けんぽ)が、令和7年度に精神疾患を理由として支給した傷病手当金は7万9825件
でした。前年度より9486件増え、5年度以降は年間約1万件のペースで増え続けています。
傷病手当金の総支給件数は19万3435件、金額は374.3億円。そのうち精神疾患は、件数で41.3%、金額
で45.3%を占め、ともに4割を超えました。がんは件数で2万7435件、金額の割合では15.4%です。精神
疾患がいかに大きな割合を占めているかがわかります。
被保険者千人当たりの精神疾患による支給件数は、情報通信業が5.83件と突出しています。次いで教育・
学習支援業が4.49件、医療・福祉が4.32件です。全体の傷病で最も件数が多かった運輸業・郵便業は、
精神疾患では2.43件にとどまり、業種によって傾向が違うこともわかります。
もうひとつ注目したいのが、休む期間です。平均支給期間は全体で約5.8カ月(173.38日)ですが、精神疾
患は211.2日と、傷病別で最も長くなっています。一度不調になると、回復にも、職場に戻ることにも、
時間がかかるということです。
私は独立する直前の職場では、障害年金の手続きをお手伝いする仕事を多くしていました。そこで強く
感じたのは、一度心が不調になると、本人の希望や意向にかかわらず、仕事への意欲も、職場での居場所
も、心の状態も揺らいでしまうということです。うまくいかない経験が重なり、さらに心を痛めてしまう
方も少なくありません。
その周りにいるご家族や職場の方も、本人を思って心配し続けます。そしてその方たちの職業人生も、
変わっていきます。私も多くのご家族からご相談を受けました。そして本人もまた、「家族に迷惑をかけ
ている」と自分を責め、無理を重ねてしまうのです。
障害年金の手続きは、いわば川下の仕事です。その手前には、必ずと言っていいほど職場での環境があり
ます。メンタルヘルス対策やハラスメント対策、本人のセルフケアおよびセルフマネジメント、ときには
タイムマネジメントも欠かせません。
そうした職場環境を整え、雲ひとつない青空のような、穏やかな(セレーノ)職場づくりと場づくり、人づ
くりのお手伝いしたい。その思いが、独立開業に踏み切った理由の大きな一つです。
「ちょっと疲れているかも」と声に出せること。管理職や同僚が、いつもと違う様子に気づいて声をかけ
られること。制度を整えることと同じくらい、そんな日ごろの空気づくりが、予防の第一歩になります。
メンタルヘルス研修や、相談しやすい職場づくりのご相談も承っております。お気軽にお問い合わせくだ
さい。