若者は、本当に管理職になりたくないのでしょうか。
「なってもいいけれど、あんな姿にはなりたくない」「あの働き方では、ワークライフバランスが保てないし、
ゲームをする時間もなさそう」。
もしかすると、管理職は「辛そう」と思われているのかもしれません。
最近、企業や自治体の方とお話をしていると、「管理職になりたくない職員が増えているんです」という声を
よく聞きます。
以前は、「いつかは管理職に」という考え方が珍しくなく、昇進して「立派になったね」と言われたい、
という思いもありました。ところが今は、「責任ばかり増えそう」「部下の指導が難しそう」「ハラスメント
と言われるのが怖い」「自分の仕事だけでも大変なのに」といった理由から、魅力を感じない人も少なくない
ようです。
これを「最近の若い人は出世欲がない」だけで片づけてよいのでしょうか。私は、今の管理職が大変そうに
見えていることも、一つの理由ではないかと思っています。
プレイヤーとして成果を求められながら、部下の育成もする。労務管理、メンタルヘルス、ハラスメント対策。
何かあれば「管理職なんだから」と対応を求められる。これでは、「自分もあの立場になりたい」とは、
なかなか思えません。
だからこそ、これからの管理職育成は、「なった人を育てる」だけでは足りないのかもしれません。
管理職は、部下を管理するだけの仕事でしょうか。管理職にならなければ出会えない人々がいます。プレイヤー
のときに出会える人と、管理職や組織の上位層になってから出会える人は違います。見える景色も、知る世の中
の仕組みも、地域のことも、組織全体のことも変わっていきます。自分の視野や人生の楽しみ、仕事の愉しみを
知る層でもあります。自分の関わりで人が成長し、チームが変わっていく面白さもあります。その魅力を、普段
の業務のなかで伝えたり、見せたりすることも必要ではないでしょうか。
経営者や役員、人事など上の立場の方には、管理職を大変な業務から少し解放し、背中を見せられるような業務
改善や効率化も考えていただきたいと思います。また、人に仕事を任せることが得意な人ばかりではありません。
プレイヤーだった人にとって、任せる、管理するという役割は、簡単ではないはずです。
専門の資格に誇りをもつ職場、たとえば医療の現場では、プレイヤーとしての自分に誇りがあるぶん、
マネジメントとの両立が難しい方もいます。その方たちらしい管理職の形をつくるためにも、また部下に管理職を
任せていくためにも、マインドづくりと人材育成が欠かせません。
そして、管理職を孤独にしないこと。困ったときに相談できる。一緒に考えてくれる人がいる。必要な知識や
スキルを学べる。そんな環境があれば、管理職の見え方も、少し変わってくるかもしれません。
「管理職になりたくない」という言葉は、本人の意欲の問題だけではなく、今の組織や管理職のあり方を見直す
サインなのだと思います。
「あんな姿になりたい」と思われる管理職が、皆さまの職場にはいらっしゃいますか。