AIという「ドラえもん」と、どう付き合う?
ポケットから便利な道具を出してくれるドラえもんは、AIでもあり、ロボットでもあります。道具は多いほうが便利ですが、使い方を考えるのは、いつも人です。本日は、厚生労働省が9月に公表した令和8年版「労働経済の分析」(労働経済白書)から、AI時代の付き合い方を考えます。
白書は、AIが大きな雇用減少をもたらしている証拠は、現時点では確認されていないとしています。一方で、職種によって影響が違う可能性があります。経済産業省の推計では、2040年に、事務職は約440万人余り、現場の人材は約54万人、AIやロボットを活用できる人材は約340万人、足りなくなる見通しです。仕事がなくなるというより、中身と人の動きが変わっていく、ということです。
白書は、AIへの投資と、人への投資を、一体で進めることが大切だとしています。労使の双方が学びに取り組んでいる職場ほど、AIで仕事の質が改善したと答える人が多いためです。ところが日本は、人材戦略を定めていない企業が多く、AIを使う人のうち、企業から訓練を受けた人の割合も、他国より低いとされています。
そこで重要になるのが、論理的思考力やコミュニケーション能力など、仕事を問わず役立つ「メタスキル」です。高い人ほど賃金が高い傾向にありますが、因果関係までは示されていません。
英文タイプライターはワープロになり、パソコンになりました。洗濯機は、二槽式から全自動へ、乾燥機と一体のものへと変わりました。それでも、二槽式が便利な場面や、昔のミシンの丈夫さは残り、ロボット掃除機の便利さも本物です。
仕事の道具も同じです。WindowsとMacは共存し、ExcelやWordは当たり前になりました。ただ、仕事でWindowsを使ってきた人と、スマートフォンやタブレットで育った人では、慣れた道具が違います。「若い人はパソコンが得意」という思い込みで、若い方が苦しむこともあります。
なくならないけれど、形が変わるもの。形は変わらないけれど、必要とされる場面が減るもの。そして、なくしてはいけないもの。それらを組み立て、整理するのは、私たち人間なのではないでしょうか。
ドラえもんとの付き合いは、人間関係と同じだと思います。少しずつ、相手の良いところや強みを知り、お互いの足りないところを補い合う。道具に使われるのではなく、使いこなす。
皆さまの職場には、道具を安心して試せる空気がありますか。
【出典・参考】
・厚生労働省「令和8年版 労働経済の分析(労働経済白書)―AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題― 概要」(令和8年9月)