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作成日:2026/11/06
【人材育成】JAL再建に託された信念、そして未来へつなぐ「恩送り」
 
 再建の最前線に立った大西賢氏

今夜、お話を伺ったのは、元日本航空株式会社(JAL)代表取締役社長・会長の大西賢氏です。1978年にJALへ入社後、主に整備部門などでキャリアを積まれた大西氏。2010年、稲盛和夫氏が会長に就任した再建体制のもとで社長に抜擢され、陣頭指揮を執られました。その後は会長として、JALの再上場を牽引された方です。
 
外科手術だけでは、組織は再生しない

2010年、約2兆3,000億円という巨額の負債を抱えて経営破綻したJAL。その再建の引き受け手となったのが、京セラ創業者でありKDDIを育て上げた稲盛和夫氏でした。異業種である航空業界の再建に乗り出した背景には、日本経済の混乱を防ぎ、社員の雇用と国民の利便性を守るという強い「大義」がありました。
 
大西氏のお話の中で特に印象的だったのは、再建プロセスを「西洋医学(外科手術)」と「東洋医学(内科治療)」の組み合わせと表現されていたことです。構造改革やコスト削減といった仕組みを変える(外科手術)だけでなく、社員一人ひとりの意識を変え、組織の体質そのものを根本から改善する(内科治療)ことの重要性を語られていました。
 
理念を唱えるだけでは、人は変わらない

稲盛氏が当時のJALに入って真っ先に感じたのは、「ここには本当のリーダーがいない」ということだったそうです。稲盛氏の定義するリーダーとは、「売上を最大に、経費を最小に」という意識を持ち、経営に確固たる責任を負う存在です。
 
もちろん、経営には大義を示す「企業理念」が欠かせません。しかし、ただ理念を暗唱するだけでは人の行動は変わりません。理念を日々の判断基準や具体的な行動にまで落とし込んだ「フィロソフィ(行動指針)」があってこそ、初めて人の意識と行動が変わっていくのです。
 
変化は一人から始まり、連鎖していく

稲盛氏は「部下を変えたいのであれば、まず自分が変わりなさい」と説かれました。課長や係長が部下の変化を望むなら、まず自らの姿勢を正す。さらにその上の部長自身も変わっていく。リーダー自らの変化が周囲へと波及し、やがて組織全体を変える原動力となる
——この「変化の連鎖」こそが、組織再生の核心でした。
 
JALは経営破綻からわずか2年8カ月という異例のスピードで再上場を果たしました。今回のお話を通じて改めて実感したのは、組織を変革するのは単なる制度や仕組みではなく、リーダー自身の姿勢と社員の意識改革だということです。
 
そして、稲盛氏から受け継いだ深い学びを「恩送り」として次世代へ伝え続ける大西氏の姿勢に、深く感銘を受けました。
 
「誰かを変えようとする前に、まず自分自身から変わる。そしてその変化を、次の誰かへとつないでいく」

受けた恩を社会や次の世代へと送り、変化の連鎖を起こしていくこと。 これこそが、今を生きる私たち一人ひとりに託された「恩送り」の本質なのではないでしょうか。
 
では、私自身ができる「恩送り」とは何でしょうか。

それは、決して特別なことばかりではないはずです。日々の業務や対話の中で誰かの挑戦を後押しすること、自らが変化の起点となって周囲に良い波紋を広げていくこと、そして出会いの中で培った知識や経験を惜しみなく分かち合っていくこと。

受け取ったバトンを、次はどんな想いで、どこへ手渡していくのか。

皆さまは、どんな「恩送り」を重ねていかれますか?