AIの普及で、新卒採用はどう変わるのでしょうか。
ネオキャリアが、生成AIの業務利用が許可されている企業の新卒採用担当者328名に行った調査から、考えてみます。
AIの普及によって、今後、新卒採用を縮小する可能性が「ある」と答えた人は70.7%、「ない」は22.6%でした。「ある」と答えた人のうち、82.3%は、すでに社内で縮小する動きがあるといいます。定型業務をAIが担うようになり、これまで通りの人数が必要なのかを、見直し始めているのです。
AIが普及しても新卒採用を続ける目的で、最も多かったのは、「中長期的な幹部・管理職候補を育てるため」(25.0%)でした。次いで、「組織の年齢構成・人員バランスを維持するため」(20.4%)、「既存社員にはない発想や視点を取り入れるため」(12.8%)です。新卒採用は、目の前の人手を補うためだけでなく、組織の将来をつくるために続けられている、といえます。
学生時代のAIスキルや活用経験を重視する企業は、84.8%にのぼりました。一方、新卒に求める要素で最も多かったのは、AIの普及前が「チームワーク・協調性」(30.5%)、普及後は「コミュニケーション能力」(31.1%)でした。AIを使えることは、前提になりつつあり、人と関わる力があらためて問われている、とも読めます。先日の労働経済白書が、AI時代に重要になるとした「メタスキル」のなかにも、コミュニケーション能力が含まれています。
11月3日の米中間選挙で、民主党が上下両院で過半数を取りました。その直後の5日、米国市場ではAI・半導体関連の株が大きく下がり、半導体株の指数が12%超、ナスダック総合指数が5%超の下落となりました。データセンターへの規制が強まるとの警戒が、背景にあるとされています。ただ、AI関連株は、選挙前の1か月ほども、すでに調整が続いていたとの指摘もあります。東京市場でも、日経平均が1,100円超下がりました。
AIの活用は広がっても、事業としての先行きは、政策や市場の動きで大きく揺れます。AI以外にも多くの事業を持つ大手と違い、AIに集中する企業は、その影響を受けやすいと考えられます。採用や育成も、AIだけを前提にせず、人にしかできない力を育てる視点を、手放さないことが大切だと思います。
採用は、入口にすぎません。
入社してから、ゴールを見せ、振り返る時間をつくり、声をかける。
そうした積み重ねが、将来の幹部候補を育てるのだと思います。
新卒を採る企業も、採らない企業も、「どう育てるか」を、あらためて考える時期にきています。
【出典・参考】
・ネオキャリア(キャリアトラス)調べ「AI時代における新卒採用に関する実態調査」(2026年10月15日)
・松井証券「マネーサテライト 米中間選挙で民主党が大勝 AI・半導体株はなぜ急落したのか」(2026年11月6日)
・野村総合研究所(NRI)研究員の時事解説「米国中間選挙がAIブーム終焉の引き金となるか」(Yahoo!ニュース、2026年11月6日配信)
・NHK「株価値下がり 米中間選挙の結果受け AI半導体銘柄に売り注文」(2026年11月5日)